「何だ?」
トニーは、さほど興味を示していない顔で尋ねた。
「一人息子が、ミシシッピの家にいたらしいんだけどさ。北軍に丸め込まれて、家の綿花畑に火をつけたんだってよ。息子がだぜ? ひでえ話だよな」
「それの何が面白いんだ? グレッグ」
「いや、その息子ってのがさ……。ジョニーって名前なんだよ。わかるか? ジョニーなんて名前のくせによ。ヤンキーに味方しやがったのさ。笑えるだろ!」
トニーが吹き出した。グレッグは腹を抱えて笑い転げた。北軍兵士のことをヤンキーと呼んだように、南軍兵士にもジョニーという愛称があったのだ。
「……」
ジュリアスは、黙って唇を噛んだ。綿花は南部の誇りだった。彼の家は農場ではなかったが、近所のプランテーションがすべて焼かれ、全滅したのを、帰還した際に目の当たりにした。あの『海への進撃』と呼ばれた北軍の焦土作戦によって、ジョージアは地獄と化したのである。
「よし、そろそろいいかな。俺からいただくぜ」
グレッグがベッドの上で立ち上がった。足を大きく開いて、膝を曲げ腰を落とす。股間から生えた刀身に右手を添え、先端をジュリアスに押し当てる。
「やっ! いやだ…っ」
粘膜が圧迫され、穴がめりめりと広げられて行く。ジュリアスは両足を激しく動かして抵抗を試みた。その両足首を、トニーの頑強な手が押さえ付けた。
グロテスクな棒が、少しずつ肛門の中に埋め込まれる。汚辱感に、ジュリアスの硬直した体が総毛立った。
そして次の瞬間、思いのほか簡単に亀頭が潜り込んだ。
「くはあああっ!」
ジュリアスは叫んだ。下半身から脳天にかけて、稲妻が走り抜けたようだった。
「おほほっ、すげえ、いい具合だぜ! ボスが手放さねえわけだ!」
最も太い先端さえ入ってしまえば、あとは楽なものであった。根元までずっぷりと中に詰め込み、一気に半分程度抜く。また奥深くまで貫き、繰り返す。グレッグは飢えた獣のように、ジュリアスのアヌスを味わった。
「ヒッ…ヒーッ、ヒ、…あ、あ……」
声にならない声を上げながら、ジュリアスが仰け反った。
グレッグはジュリアスの双丘を抱え、何度も腰を打ち付けた。そして、彼の肉棒が熱い淫欲を吐き出すまで、そう時間はかからなかった。
グレッグは大きく息をつきながら、ペニスを引き抜いた。ジュリアスの足を拘束していたトニーの手も外れる。長い時間、二つ折りにされていたジュリアスの体が、ようやく解放された。
「はあ…っ、はあ…はあ…」
ジュリアスは息も絶え絶えに、ベッドの上で体を痙攣させた。肛門からどろりと熱い液体が、大量にあふれ出す。
しかし、休むことは許されなかった。今度はトニーがジュリアスの足元に回り、両足首を掴んで持ち上げたのだ。
「や……少し、だけ……休ませ……」
ジュリアスの訴えは無視された。トニーはジュリアスの片足を肩の上に乗せ、強く引っ張り上げた。腰と背中がベッドから離れ、右の頬と右肩だけがベッドに接触する姿勢になる。側面を上にされたジュリアスの、大きく広げられた下肢の合わせ目に、トニーは腰を接近させた。
トニーの股間にそそり立つものは、巨大な黒い凶器だった。
「いやだ、そんな……」
恐怖に顔を歪ませて、ジュリアスが哀願しようとしたその時、一気に尻の穴が大きく開いた。
「はがあああああーっ!!」
腸壁に密着した巨根が、あっという間にジュリアスの中に消えた。例えようのない圧迫感がジュリアスを苦しめた。その場所から、体が裂けてしまうのではないかと彼は思った。
「ひいい〜っ! あああッ! あッ!」
下品に笑いながら、トニーは貪るように穴を掘った。ジュリアスの悲鳴に気圧されることなく、力強いピストンを見舞う。
「中は意外と狭いじゃねえか。こいつは責め甲斐があるぜ」
トニーは自分の腰を前に叩き付けると同時に、乱暴にジュリアスの腰を引き寄せた。根元までアヌスに埋め込み、激しく突き上げる。肉がぶつかり合う音が部屋に響いた。
グレッグはベッドから降りて立っていた。先ほどトニーが使っていた布巾を木桶の水で洗い、己の股間を拭っている。そして裸のまま壁にもたれかかると、ベッドの上の交尾を観察した。黒人が白人を犯す様など、彼にとっては獣姦にも等しいものだった。
「ジュリアス。お前に聞きたいことがある」
グレッグは詰問するような口調で言った。
「……」
側面を向かされているジュリアスは、固く閉じていた瞼を開いた。蛇のような目つきで彼を見ているグレッグの姿が目の前にある。
「お前が鉱夫から砂金を大量に買い取り、どこかに隠したという噂があった」
ジュリアスは、眉も動かさなかった。グレッグは続けた。
「お前に目を付けて、俺があの町に着いた日のことだ。酒場はその話で持ち切りだった。凄腕の賞金稼ぎが大量に砂金を買い付けたってな。俺はその話を、今まで誰にもしなかった。こういう機会を待ってたんだ。誰も、お前がそれを持ち出すのを見ちゃいねえ。なのに、ホテルのお前の部屋を探しても、どこにもそんなものはなかった。砂金は煙のように消えちまってたってわけだ。まあ、ゴールデンフォックスと呼ばれたお前さんのことだ。どこかに隠したのは間違いない。俺たちは、それを知りたいのさ」
「……俺の腕を、やった後に…っ、俺の部屋を…調べたのか……」
「宿泊料の精算はしておいたぜ」
グレッグは笑った。ジュリアスは正面からその顔を見据え、はっきりと告げた。
「ミズーリへ向かう旅の修道士と仲良くなって、全部、教会に寄付したよ……。これは嘘じゃない……」
「ハッ。そんなバカなことがあるか。嘘をつくなら、もっとましな嘘をつくんだな」
グレッグは床に唾を吐いた。疑惑の眼差しがジュリアスを貫く。
「言っちまえば楽になるぜ、ジュリアス」
トニーの腰の動きが一層激しくなった。
「はあああっ! う…嘘じゃ、ないっ!」
「これでもシラを切るか」
トニーは左手でジュリアスのペニスを握り、力任せに扱いた。
「あああっ! い…やッ…、あっ、あああああっ!」
ジュリアスの中心に、急速に血液が流れ込んだ。包皮がめくれるたびに、それは大きく勃起し始める。ぷっくりと膨らんだ亀頭の先から雄汁が垂れ、トニーの掌を濡らした。
挿入も緩められることはなかった。長時間抜き差しを続けているというのに、禍々しい凶根はますます大きく張りつめていた。
「ヒッ! ヒイィッ! もっ…もうっ! あがっ、あぐふうっ!」
前と後ろを同時に責め立てられ、ジュリアスはがくがくと腰を震わせた。
「ジュリアス、答えろ」
グレッグが歩み寄り、ジュリアスの首に手をのばした。片手で首を包み込み、指に力を込めて行く。
「ア……」
ジュリアスの瞳孔が開いた。そして声を絞り出そうとして、低く呻いた。
「ぐう……」
すぐにグレッグは指の力を抜いた。
ジュリアスは頬を上気させ、荒く息を吐いた。
「もう一度絞めてやろうか? 次はもっと長くやるぜ」
「何度やっても同じだ……。答えは一つしかない」
「そうか。じゃあ、やってみようか」
再びグレッグは、強い力で首を絞めた。掌で喉仏を強く押し、指で頸動脈を圧迫する。爪が白い肌に食い込み、ジュリアスの気管は縮み上がった。
「ハ…ア…ア……」
顔を真っ赤にして、ジュリアスはもがいた。ぱっくりと開いた口から舌が垂れ、空気を舐め取るように上下に動いた。
そんな苦悶の表情を愚弄するかのように、彼の肉棒は大きく上に跳ね上がり、脈打ち始めた。
「おい、見ろよ。こんなに」
トニーがグレッグに伝えた瞬間、噴水のように精液が噴き出し、ジュリアスは射精した。
「ハハハッ! 首絞められてイキやがった」
高笑いをしながら、グレッグが手を離した。ジュリアスはがっくりと頭を垂れ、枕に顔を埋めた。口の端から涎があふれ、滴り落ちて糸を引いた。
「もう一発ぶち込みたくなっちまったな」
グレッグは自らの肉茎を扱きながら、興奮した様子で呟いた。
「力抜けて、かなり緩いぜ。今なら入るんじゃねえか?」
人形のようにくず折れてしまったジュリアスを支え、トニーは延々と腰を振っていた。まだ、射精には時間がかかるらしかった。
グレッグは最初、トニーの言う意味がわからなかったが、すぐに理解してベッドの上に乗った。
トニーは一旦、一物を引き抜いた。ぬらぬらと腸液をまとわりつかせたそれは、少しも萎えてはいなかった。
トニーはジュリアスの体を起こし、グレッグの方を向かせて座らせ、膝の上に抱き上げた。そして、立てた両膝の裏側に手を差し込むと、そのまま軽々と体を持ち上げる。Mの字に足を広げられたまま、ジュリアスの尻は宙に浮いた。
「な、何を……」
不具の男に、抗う力は残っていなかった。
グレッグはトニーに指示されるまま、彼の股に腰を近づけた。鎌首をもたげた白と黒の蛇が並んで天を向いていた。
「手で支えていてくれ。このまま降ろすぞ」
トニーがグレッグに言った。グレッグは更に腰をずらすと、二本のペニスを束ねるように揃えて握り締めた。
「いいぜ、トニー」
グレッグの合図を受けて、トニーはゆっくりと狙いを定め、ジュリアスの体を降ろしていった。二つの亀頭がそれぞれ、肛門の中心からやや外れた箇所に押し当てられる。
「やっ、やめ……、さ…裂けるッ!」
ジュリアスが暴れようとした時には、すでに遅かった。激痛とともに、アヌスが瞬間的に大きく押し広げられた。
「ぎゃああああッ!」
二本のペニスが同じ穴の中に埋め込まれた。ジュリアスの菊門はこれ以上広がらないほどに開き、皺が伸び切って赤く充血していた。
「すげえな。しっかりくわえ込んでるぜ」
「どうやって動く? 呼吸を合わせるか」
「いや、それよりも……」
グレッグは、自分のものだけを更に奥まで突き入れた。
「あ! あ! あ! そっ、それ以上は、もうッ!」
半狂乱になって、ジュリアスは声を張り上げた。
グレッグは根元までペニスを押し込み、今度はゆっくりと抜いて行った。裏筋が密着したトニーの雁首で刺激されることもまた、彼には心地よかった。グレッグは完全にはそれを抜き切らないまま、腰の動きを止めた。
「こんな感じで、交互にぶち込んでやるんだ。抜けないように注意しろよ」
「オーケー。それじゃ、次は俺の番だな」
にやりと笑うと、トニーはゆっくりと肉棒を突き上げた。
「ひいいいいっ!」
黒い大砲に腸襞を擦り上げられて、ジュリアスは悲鳴を上げた。
トニーはジュリアスの体をうまく上下させながら、残酷なピストンを繰り返した。グレッグも、その動きに合わせるように腰を使う。
「あああっ! こ、壊れ…るっ! い…痛っ、い…や…あ、あああああっ!」
猥褻な音を立てて、二本のペニスが交互に抽送される。それぞれの動きはゆっくりであったが、互い違いに挿入されることで、ジュリアスが奥まで突き上げられる回数は倍になっていた。
「はあああっ! ひはあァッ!」
だんだんスピードが早くなる。二本の男根に嬲られ、アヌスは限界まで拡張されていた。二本とも決して抜かれることはないまま、肛門性交は長時間に渡り続けられた。
先に果て、萎んだのはトニーの方だった。トニーはジュリアスの体を抱え上げて己の持ち物を外すと、その腰を、まだ逞しくいきり立っているグレッグの上に乱暴に落とした。
「ひぐぅっ!」
いきなり腹の奥深くまで貫かれ、ジュリアスは微量の胃酸を吐いた。
「ハハハッ! 急にガバガバになったぞ!」
グレッグが笑いながら腰を突き上げる。二本のペニスを受け入れていた肛門は、すっかり広がって役に立たなくなっていた。
「ああ、悪い悪い。こうすりゃ締まるかな」
突然、背後からトニーがジュリアスの首を絞めた。
「ぐぅ…あッ!」
「おおっ、締まる締まる。すげえっ」
悦んで、グレッグはピストンのスピードを上げた。
「さっき、お前が絞めた時、具合がよかったんでな。お返しだ」
トニーはそう言って、更に指先に力を込めた。前に回して交差させた指が、喉仏を強く押し込む。
「あ…あが…っ、かはッ」
ジュリアスは口を開け、舌を出して上を向いた。しかし、首に巻き付いた黒い指の力は弱まることはなかった。
グレッグは苦しむジュリアスの顔を抱き寄せて、その唇に吸い付いた。僅かに痙攣する唇を舐め上げ、舌と舌を絡ませる。唾液が糸を引き、ジュリアスの喉に流れ込んで行った。
「あ…あ…! んはッ……あ、はッ」
「早く白状しろ。殺しちまうぞ」
「……が、あ、はッ…、あっ、あ」
「ま、殺すのは惜しいな。やっぱり」
そう言うとグレッグはひときわ激しく直腸を掻き回し、ジュリアスの奥深くに熱液を注ぎ込んだ。同時にトニーは両手を離し、ジュリアスを解放した。
「ゴ…ゴホッ! ゴホッ!」
ジュリアスは咳き込みながら、前のめりに倒れた。グレッグがそれを支える。金色の髪が、汗でぐしゃぐしゃに乱れていた。グレッグはジュリアスの細い体を抱くと、髪に指を通した。
それから数時間。ジュリアスの肉体は繰り返し嬲られ、犯され続けた。
何度目の挿入で意識を失ったのか、彼は覚えていなかった。
Next
|