Case11
目の前でチキチキチキッと音がして、カッターの刃がせり上がって来た。
「けっ。そんなもんで脅されたぐらいじゃ、何も喋らねえぜ」
男は柱に縛られた状態で、せせら笑った。
サングラスの奥で、青年の目が笑った。そして彼は、男の心を見すかしたように言った。
「こんなもんはさ。紙しか切れねーよ。せいぜい皮の下、何ミリかってとこだろ」
「わかってんじゃねえか。それじゃ、髭でも剃ってくれるのか?」
「残念。髭はあったほうが好きなんでね」
青年は、カッターの刃の先端を指で摘むと、ポキッと折った。
その破片を手にしたまま、青年は男のジーンズのファスナーを開け始めた。
「な、何するんだ! やめろっ!」
「何ミリか切れるだけだって言ったろ。もっとも、体の中からだけどな」
青年はブリーフから男の急所を引っぱりだし、5ミリ程度のカッターの刃を近付けていった。
「や、やめろ、そんな、ヒイイッ」
男のペニスの先、尿道口の中に、カッターの刃が押し入れられた。
「ひとーつ」
数えながら青年はまた、刃の先端をポキッと折った。そのままその破片を、同じ場所へと詰め込む。先に入った刃が二本目に押され、内部にザクッと刺さった。
「ウッ、ウギャアッ!」
「ふたーつ」
「やっ、やめてくれーっ、と、取れなくなっちまうっ」
男の哀願を無視して、青年は同じ動作を繰り返した。三本目が尿道に埋め込まれ、先客を更に奥へと押し込む。肉棒の中で、鋭い欠片が皮膚をえぐりながら、膀胱への道を進んでいく。
「みーっつ」
「いやだっ! 頼むからやめてくれえ! 取れなくなるうぅーっ!!」
男は、半狂乱になって腰を振った。青年は、その腰を柱に押さえ付けると、機械的に作業を続けた。
「フフフ。何も喋らねーんじゃなかったのか?」
「た、頼む。ばい菌が入ったら大変だ!」
「ちょっと錆びてるからな。ちょうど、新しい刃に替えようとしてたらしいぜ。事務所では」
「や、やめてっ! やめてください、それ以上は!」
「何個目だっけ。忘れちまったよ」
「ヒッ、ヒッ、言います、言います、俺の知ってることは全部…」
「うるせーんだよ。俺が知るか、そんなこと」
青年は、カッターの残った刃を全部せり上げた。そのまま、刃を折らずに先端を尿道口に密着させる。
「ギャッ! やめてっ!」
長い刃が、ズルッと亀頭の穴の中に沈んだ。刃の片側が、入り口から一直線にスパッと切れ目を作った。
「ギャアアアアッ!」
赤い血が玉のように膨らんだかと思うと、やがて内部からボトボトと流れ落ちた。最初に挿入された数片は更に押し込められ、細かく切り傷を作っていた。
「アアア~アッ、アーッ!! アーッ!!!」
「しばらく、そのままでいな」
言い終わると青年は、カッターの柄を握る手に力を込め、根元から刃をへし折った。
「ヒギャーッ!」
反動でペニスが激しく上下に揺れ、男は絶叫した。
(了)
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