Case01

「アアアアッ」
 男の悲鳴が、薄闇に響いた。
 細い虫ピンの先が、執拗に亀頭をつつく。尖った先を軽く押し当てては、刺さらない程度に力を緩め、幾度もねちねちとその作業を繰り返す。
「やめてっ、やめ……アーッ!」
「うるせーんだよ。叫ぶ力あったら、いいかげん吐いちまいな」
「も、もうしゃべっただろ? これ以上、何も……」
「嘘だな」
 青年は、亀頭にあてがったピンを摘む指に力を込めた。
「ヒイイッ」
「言えよ」
「やめろーっ」
「偉そうにしてんじゃねーよ」
 青年は指で亀頭を鷲掴みにすると、指で尿道口を広げ、中に虫ピンを押し込んだ。
「ヒイッ、ヒ、ヒ、アアア……」
「今ならまだ、指突っ込みゃ取れるぜ。今のうちに吐いたほうがいいんじゃないのかな」
「だ、だから知らないよ。本当にもう…」
「フン。結構、訓練されてやがんなー」
 青年は、革手袋をはめた小指を、尿道に差し込んだ。
「やめてくれーっ」
「嫌なら言うんだな」
「許してくれ、本当だ、本当に知らな…」
 男の言葉が終わる前に、青年は小指の先に触れるピンの先端を、ぐりぐりと動かした。
「ギャア!」
「中、どんどん傷つくぜ。いいのかよ」
「や、やめて……」
 青年は指を抜くと、肉棒を思いきり掴み上げた。
 小さく縮んだペニスの中で、異物感が激痛に変わる。
「ギャアッ! いやだっ、やめろ、それだけは……」
「同じこと何度も言わせんじゃねーよ!」
 ペニスを絞るように握り締めると、青年はくねくねと回し始めた。
「ウワアアアアアッ! ギャーーーーッ!!!」
「ほら、痛いか、どうだ、言う気になったか」
「アアーーッ! ゆ、許してっ、アヒイイイッ!」
「もう一本入れるぞ。それとも十本ぐらいまとめてブッ刺してやろうか」
 尿道口から真っ赤な血液が一滴、落ちた。
 同時に、男は気を失った。
 それを見て、拷問執行人の青年は不機嫌そうに、
「ケッ! 痛いってだけじゃ吐かねェか。じゃ、熱いもん刺して起こしてやるか」
 と、言いながら、煙草を取り出し口にくわえた。
(了)

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