「~~~~~♪ ~~~~~~~♪」
途切れ途切れに、呂律の回らない歌声が囚人の口から漏れた。
拷問官はその間、新しく届いた報告書に目を通していた。
「……何と……これは本当か」
少し驚いた顔をして、拷問官はチラッと囚人を一瞥する。
そしてつかつかと囚人に歩み寄り、力任せに頬を平手打ちした。
「帰ってこい。狂気の淵へ逃げることは許さん」
数回、往復で頬を張り飛ばすと、次第に囚人の瞳に自意識が戻ってきた。
「う……あ、はぁ、ハアッ……」
見開いたままの目で、囚人は激しく肩を上下させ、がっくりと項垂れた。
「これ以上は危険だな……次で最後にしよう」
囚人の頭を手で掴み、グッと上を向かせる。焦点を失いかけている瞳を覗き込みながら、拷問官は言った。
「本当のことを言わなければ、お前の恋人がいずれ同じ目にあうことになる。それをよく考えろ」
「……はあっ、あああ……で、ですから、彼は恋人でも何でも……ないんです……。僕は、彼を利用しただけで……」
「そんなことは我々には関係ない。質問するべきことは他にあるんでな」
「ど、どういうことですか……やめてくださいっ! か、彼を巻き込むのは……」
「スパイという身分を隠すため利用しただけの相手を、なぜそこまで気遣う?」
「う、うぅ……」
囚人は視線を逸らした。
拷問官は手を離し、再びキャビネットの工具箱に歩み寄った。
その中から、細い棒のようなものを取り出す。長さは20センチに届くか届かないかというところである。
「カテーテルを入れたせいで、ずいぶん入り口が広がってるな」
棒を指で回すように弄びつつ、拷問官は囚人に近づいてきた。
「そ、それを入れ……や、やだあぁっ! 許してエェッ!」
「治療が不可能になったら、医務室で切り落としてももらうよう伝えておく」
「き、切り落と……」
「話したくなったらいつでも言え。もっとも、途中でそう言われても」
拷問官は左手で囚人の肉棒を支え、尿道にズブッと金属の棒ヤスリを差し込んだ。
「ギャアアアアアーーーーッ!!!!」
拷問室に絶叫が響き渡る。囚人は誤動作するロボットのように腰を振りながら、声が枯れるほど喚き散らした。
空いている手で耳を塞ぎ、拷問官は言葉を続ける。
「……例えば今、白状すると言われても、だな……」
言いながら、拷問官は5センチほど中にめり込んだ棒をクッと手前に引いた。
「ふっ、ふひゃうああああぁっ!」
「これを抜く間は苦痛が続くということになる。ただ入れて抜くだけなら、さほど痛くはないが……」
拷問官は、左手でグッと肉竿を握り締めた。
「こうやってから動かすと……」
握力を僅かに緩め、棒ヤスリをゆっくりと奥へ押し進める。
「ヒギャアッ! うっ、あがっ! あぎゃぎゃあああぁ~~~っ!!」
外側から圧迫されたことで、尿道が棒ヤスリを隙間なく包み込んでいる。言わば、ヤスリを肉に強く押し当てたような状態になっているのである。
「クククッ……チンポの中が削られていくぞ」
「グギャウアァッ! ひぎっ、ヒグウゥアァッ!!」
「目一杯、奥まで押し込んでから……一気に引き抜く!」
ズルッと棒が外に取り出された。
「アギャアァーーーーーッ!!!」
瞬間、大量の血しぶきが噴水のようにほとばしり、床にボタボタと流れ落ちた。
拷問官は無表情のまま、取り出した棒ヤスリを補佐官に渡す。
「肉片で目詰まりした。歯ブラシで落としてくれ。新しいのを寄越せ」
真新しい棒ヤスリが拷問官の手に握られた。
それを持って歩いてくる拷問官を見て、囚人は真っ青になって慌てふためいた。
「ヒイイイッ! もういやだっ! もう許してっ! お願いです! な、何でもしますからっ!」
亀頭の先端からボトボトと鮮血をしたたらせながら、囚人は頭を左右に振って泣き叫んだ。
「必要なことを話してもらわなければ困る」
「何でも言います! 言いますから……」
「テロリストとの関係は?」
「昔の恋人です……偶然、町で会って……だから、一緒に……」
「……フン」
拷問官は補佐官に命じて、円筒形のグラスを持ってこさせた。中に赤い粉末がみっしりと詰まっている。
その赤い粉末の中に、拷問官は棒ヤスリを突っ込んだ。
「偶然だと?」
ヤスリの目の部分に、唐辛子の粉末がたっぷりとまぶされた。
「ヒッ……ヒイイイッ!」
「これから自爆テロを実行しようとする男と、偶然会ったと?」
「や、やめてっ! やめてエエエエッッ!!」
囚人の亀頭が指で摘み上げられ、とめどなく血が湧き出す鈴口がグッと広げられた。
そこに突き立てられた棒ヤスリが、無情にも体内へと埋められてくる。
「いやだっ! やだやだっ! ハガアッ! 助けて……ギャハアァーーッ!」
普段は外気に晒されない粘膜が、ザリザリと削られ、破壊される。
そして無数の傷に、唐辛子の成分がじわじわと染み込んでいく。
「ギャオアアァッ! アガアアッッ! グオオォーーッ! ヒギイイイイイッッ!!!」
肉を削ぎながら、棒ヤスリがペニスの中を行き来した。鮮血が噴き出し、拷問官の制服を濡らした。
かつて体験したことのないような激痛に、囚人は気も狂わんばかりに咆哮した。
続く