拷問官は椅子に腰を下ろし、くわえた煙草に火をつけた。
補佐官も電動工具を床に置き、待機している。
「はあっ……はあっ……」
囚人の息遣いだけが室内に響いていた。先ほどからずっと敏感な後肛を犯され続けている。自分の意志と関係なく、恥部も硬く膨らんできていた。
「ああ……お、お願い…します、彼には、何もしないで……」
息も絶え絶えに囚人は哀願した。同棲している恋人が同じ目に遭うなど、考えられないのだろう。
拷問官は黙ったまま、囚人に関する報告書を読み返していた。囚人が何度呼びかけても、顔を上げようとはしない。
囚人は唇を噛み、しばらく苦悶に顔を歪ませていたが、やがて決意したように、
「あ、会っていたことを……認めます。僕は現場で……テロリストと会いました」
と、言った。
その言葉を聞いて、拷問官は腕時計をちらりと見ると、書類にペンで字を書き込む。
そして書類を机の上に置き、椅子から立ち上がった。
「呼ばれて行った、ということも認めるんだな?」
「は…はい……認めます」
「実行犯と、もともと知り合いだった。友人以上の関係であった、ということも」
「……認めます。……だ、だから、あの……釈放してください。彼を……」
「フン。恋人が拷問にかけられるぐらいなら自白する、というわけか。それじゃ、ますます釈放することはできなくなったな」
「ど、どうして……!」
「お前のことを尋ねてみる必要がある。お前がどういう目的でそいつと付き合っていたのか」
「も…目的なんか! 彼との間には、理由なんか何も……」
「どうかな。宗教の問題はどう説明する? 自爆テロ実行犯と、お前の同棲相手の宗派は異なる。お前は一体、どちらに属している?」
「そ、それは……」
囚人は困惑したように顔を背けた。
拷問官は煙草を灰皿で揉み消すと、囚人の前方へと歩み寄った。
そして、おもむろに肉棒をギュッと握った。
「はぐうっ!」
「宗派の話になると黙秘か。そこに秘密がありそうだな」
「あ、あぁ…っ、だ…め、あはっ……や、やめて……」
優しくゆっくりと愛撫され、囚人は顔を赤らめた。
美男子に見つめられながら性器を扱かれれば、勃起してしまう。哀しい男の性だ。
「クククッ……また、ケツを犯して欲しいか?」
「あっ……ああ、そ、そんな…、あっ、や…はぁ、ん……」
「そろそろ、こっちをいたぶって欲しいんじゃないのか。こんなに大きくして、やる気満々じゃないか。え?」
「んくぅ…ああっ、はあ…、…はあぁっ……」
「少し可愛がってやる。その間に、喋るかどうか決めるんだな」
そう言うと、拷問官は胸ポケットから半透明の長い管のようなものを取り出した。
一目で囚人は、それが何のために用いられる物か理解した。
「やっ! やめてッ! それはいやっ!」
「カテーテルは初体験か? 慣れれば結構イイらしいぞ」
拷問官は片手でペニスをグッと掴み、二本の指で囚人の尿道口をこじ開けた。
そして、金魚の口のように開いた小さな穴に、カテーテルの先端を差し入れた。
「ひっ、ひぎっ! や…やめ……やああああっ!」
数ミリねじ込まれただけで、疼痛が囚人を襲う。
拷問官は構わず、グリグリとカテーテルを中へ突っ込んでいく。
「い、痛いっ! 痛い……あぁっ、も…もう、やめてぇっ!」
「動くな」
「や…やめてくださいっ! お…お願いっ!」
「もうじき尿道括約筋に当たる。そこはもっと痛いぞ」
「いやーっ! いやあぁっ! 抜いて! 抜いてェッ!」
直後、びりびりとした激痛が全身を突き抜けた。囚人は電流が走ったようにビクンと体を痙攣させた。
「痛いっ! ああっ、そ…そこ、やめてッ! ああああああっ!」
尿道口から、トロッと赤い血液が垂れ落ちた。内部が出血したらしかった。
じっとしていなくてはいけないとわかっていても、あまりの痛みに気が遠くなりそうで、思わず腰が動く。
「もう少し進めると気持ちよくなるはずだが……ここで止めてやる」
「ひぎゃああっ、抜いてェッ! 抜いてええええっ!」
「暴れるなよ。括約筋を痛めると、垂れ流しになるぜ」
「あがあああああ……やめてエェッ! は、話し…ます。だから……抜いて…くださいっ!」
囚人は涙を流しながら懇願した。
しかし拷問官は何も聞こえないような顔で、補佐官にカテーテルを持たせ、キャビネットの方へ移動した。そして、
「今は何も聞くことはできない。準備段階だからな」
と、冷めた口調で言った。
続く