天井の滑車が動き、囚人を吊り上げていたロープが緩められる。
拷問補佐官が水道の蛇口を捻り、ホースから噴き出る流水で囚人の顔を洗った。
念入りな洗浄というわけではなく、囚人の口内や歯の隙間にはまだ残留物があったが、呼吸をすることはできるようになった。
その間、拷問官は椅子に腰掛け、新しく届けられた書類に目を通していた。
「ふん。やはり、お前が会っていた男がシャヒド・ベルトを巻いていたようだな。自爆テロの実行犯というところか。今時……珍しいことだ」
拷問官の言葉を囚人は黙って聞いていた。僅かに顔色が曇っている。
拷問官は煙草を吸いながら、書類を手に立ち上がった。
「この男の所属する組織の手口は、無関係の子供や若者を使うことが多い。それが、爆発物のベルトを自ら巻いてテロに及んだ……となると…ふむ、やっぱりそうか……」
再び、滑車がガラガラと音を立て、囚人の体は吊り上げられた。しかし今回は、充分に足が床につく程度で止められた。
「男は、最期のひとときをお前と過ごすため、現場へお前を呼んだ。そういうことか」
「……ち、違います。僕は……呼ばれてなんか、いません…」
「お前の言うことが本当なら、お前は助かるわけがないんだ。爆発の時間を知っていたからこそ、逃げることができた」
「でも、あ、あ…うぅっ、違うんです……」
「そうか」
拷問官は机に書類を置き、煙草を灰皿でもみ消すと、キャビネットの工具箱の蓋を開けた。
そして中から、片手で電動工具を取り出した。片手でグリップを握り、大きめの本体をもう片方の手で支えている。
拷問補佐官がそれを受け取り、先端に男根の形状をしたディルドゥを取り付けた。
「電動ノコギリを改造したものだ。バイブレーターとして使用してやる。可愛がってやるよ」
言いながら、拷問官は囚人の後肛にローションをまぶした。
背後に拷問補佐官が回った。
双丘が左右に割り広げられ、硬い物が粘膜に押し当てられた。
「……あ、あぁ……!」
すぼまった肛門をこじ開けるように、太い亀頭部分が中へ潜り込む。
そのまま竿までがズブッと押し込まれた。
直後、スイッチが入れられ、室内にガガガガガッと轟音が響き渡った。
「ひいいいっ! ぎゃああああっ!」
想像以上の強烈なピストンが、囚人を恐怖の淵に叩き落した。
凶悪な音を立てながら、擬似ペニスを装着した電動ノコギリが直腸内を往復する。
「ひぎっ! い、痛いっ! いやああっ! はがあああっ!」
「どうだ? 恋人のペニスよりもイイだろう。ストロークの長さは20ミリ程度だが、一分間に3000回ほど動く」
「あがぁっ! ひ…ひぎゃああっ! た、助けてェッ!」
拷問官が指を鳴らして合図する。と、補佐官は工具をゆっくりと前後に動かした。
「あひゃあああ……ヒッ、ヒギッ! いやあああっ……」
ディルドゥだけでも高速ピストンしているというのに、それを長いストロークで更に出し入れされる。囚人の尻穴は余すところなく蹂躙された。
「ひ、ひやああぁ……あふあぁっ、あぁっ、あうあああ~~~~っ」
「フッ、声が甘くなってきたぞ。気持ちいいのか。淫乱め」
腸壁をえぐられるようにディルドゥが抽送される。
次第に囚人の頬が上気してきた。
「んっ、んぅ……ああっ、はぅ……ん、ああ……あっ、んんっ……」
「白状すれば、もっとよくしてやる。そろそろ話してみないか」
「は…話す、ことなん……か、あ、ありまっ、はあああ……」
「お前の民族の宗教は、二つの宗派に分かれているそうだな。お前と同棲相手の属する派、そして、自爆テロ実行犯の属する派。違う宗派の人間と、なぜ会っていた?」
「あ、会っていません! 会ってなんか……いませんッ!」
「もっと奥まで突っ込め」
「ひはあああっ! だ、だめ……おかしく、なるッ! はひゃああっ!」
「男と会ったことを認めろ。そうすれば、もっと太いのをぶち込んでやる」
「あっ、ああ……はああっ、あッ……あ~~~っ! あーーーっ!」
「今、お前の同棲相手の身柄確保に動いている。お前が話さないなら、そっちを拷問することになると思うが?」
「そ…そんなぁっ! やめてくださいっ! 彼は、何も……!」
突如、ピストンが停止し、改造バイブが引き抜かれた。
置き去りにされた囚人は、太腿を擦り合わせ、腰を振った。
「ああっ……ああ、う、うううっ……」
「自爆テロの実行犯と会っていたことを認めるか?」
「……ううっ……」
「彼氏に何もかも知られていいのか? 隠したいことがあるんだろう?」
「僕は……独りで、買い物に……出掛けた、だけ……です……」
「そうか。じゃあお前から聞くことは何もない。恋人の到着を待つ」
拷問官は、クルリと囚人に背を向けた。
続く