数十分の後、拷問官の指示で虫がビンの中に片付けられた。
囚人は全身に汗をびっしょりとかいて、息を荒げていた。
「はああっ……ああっ、はあ…、はあ……」
次に拷問官は補佐官にバケツを持ってくるように命じた。
すぐにプラスチックの青いバケツが用意される。
「よく我慢したな。これに出してもいいぞ」
「あぁっ、ああ、ああ……あ」
「気持ちよく全部出すといい。束の間の快楽ってわけだ」
補佐官は囚人の背後に回り、バケツを尻にあてがった。
そして、ゆっくりと電動アナルプラグを引き抜く。
「ああっ、で、出る! い、いいんですね……出しても、いいんですねッ! はっ…はあああああ~~~んっ!」
拷問官たちの前で排泄することは恥ずかしかったが、今はそれよりも便意の方が勝っていた。
囚人の尻の穴が大きく開き、ブババッと激しい破裂音が響いた。
続けて、中から大量の糞便がボトボトとバケツに落ち始めた。
固形物に混じり、時折ピュルッと水が噴き出る。水に溶けた軟便も、ムリムリと流れ落ちた。
「ああっ! み、見ないで! まだ……出る! 見ないでェッ!」
顔を真っ赤にして、囚人は男たちが見守る中、赤恥を垂れ流した。
やがて便が途切れ、囚人は大きく息を吐いた。
拷問補佐官がバケツを持って、囚人の前に回る。バケツの中身が彼の目からも見えた。色のついた大量の水と粘液の中に、プカプカと茶色の固形物が浮いている。
「ずいぶん出したな。臭くて鼻が曲がりそうだ」
拷問官は手袋をはめた手で鼻と口を覆った。
囚人はただ、目をきつく閉じて俯くことしかできなかった。
「ううっ……」
両腕を拘束されている状態では、鼻をつまむこともできない。息を止め、臭気に耐えるしかなかった。
「フフ、臭いか? 自分でひり出したものだろうに」
「く…ううっ……」
「さて、と。『ソドムの市』という映画を見たことがあるか?」
拷問官の質問に、囚人は思わず目を開いた。そして、首を横に振る。
「刺激的なシーンがあるだけのくだらん映画だがな。見ておけば、見てない者に自慢する程度には役に立つだろう。無教養な人間が自分を高尚に見せるためによく用いる手口だ。昔、そんな銀行強盗がいたが……まあ、無駄話はいいとして……」
「ヒッ……ヒィ……な、何、を……」
拷問官の話は、半分も囚人の耳には入っていなかった。
目を開けた彼が見たものは、拷問官が銀のスプーンをバケツの中に突っ込み、掻き混ぜているところだった。
美しく光る銀色に、ねっとりと糞便がまとわりついている。
不定形な固体がスプーンの先で突き崩され、水の中に混じっていく。
「『ソドムの市』のクソを食らうシーンの撮影で使われたのは、チョコレートにマーマレードを混ぜたものだったという。そう聞くと興醒めだろう?」
「や…や、やめて……やめて、ヒ、ヒイイッ!」
「お前にはぜひ、リアリズムを追求して欲しいと思ってな」
拷問官は、スプーンで山盛りにすくったものを、囚人の顔に近づけた。
囚人は固く目と口を閉じ、開けようとしなかった。無駄な抵抗とはわかっていたが、そうせずにはいられなかった。
「上を向かせろ」
指示を受けて、補佐官が囚人の髪を掴み、グイッと後ろに引っ張った。
囚人の首が後ろに折れて、顔が天井を向く。
僅かに口が開きそうになったのを、囚人は必死で堪えた。その時だった。
「ムグオオオオッ!」
温かい液体が、顔の一部分にかかった。それは口を僅か上方に外れた位置だった。
囚人の二つの鼻の穴の中に、粘液が流れ込んでいく。とてつもない臭気が直接、鼻腔を刺激した。
「ウエェッ! オゲエェッ!」
鼻の穴から軟便を出そうと、囚人は頭を振った。俯いて、下に落とそうとする。
しかしがっちりと頭を押さえつけられ、上を向いた体勢を変えることができない。
そして今度は、暴れながら開いた口に、新しくスプーンに盛った糞が流し込まれた。
「オエエエエッ! グヘエエエエエッ!」
ドロッとした軟便が口の中に溜まり、奥へ垂れ落ちた。経験したことのない苦さがムワッと広がる。
我慢できないほどの悪臭が鼻の奥に突きぬけ、囚人は目に涙を浮かべた。
「ひゃ、ひゃめへっ! うがぁっ! オゲエェッ!」
口を閉じれば、鼻の穴に注ぎ込まれる。鼻孔が塞がれば、息苦しくて口を開ける。その口に、後から後からバケツの中身が落とし込まれていく。
数回それが繰り返されると、囚人は諦めたように動かなくなった。
「フフフ、このくらいにしておくか。自分のクソで窒息しては気の毒だからな」
拷問官は笑いながらスプーンを囚人の喉奥へと突き立てた。
「ゲボッ! ゲブッ、ガホッ!」
囚人は激しく咳き込み、糞便を吐き散らした。

続く