囚人は、天井から吊るされた手枷で、両手を拘束されていた。
両腕は、肘を曲げることができないほどピンと伸びている。
足は辛うじて床に付くものの、爪先立ちのような体勢だった。
「そのままの格好でいるだけでも、体力が奪われていくぞ」
拷問官はチラリと囚人の顔を見てそう言った後、報告書をパラパラとめくった。
室内に、拷問官の靴音がコツコツと響いている。
クリップで束ねられたレポートを読みながら、拷問官はゆっくりと歩き回った。
囚人の額から汗が滲み始めた。
ぶるぶると足が震え、体がミシミシと音を立てる。
「先日の自爆テロの現場に、お前がいたという証言がある。これについては?」
「……僕じゃありません……」
「爆発で犠牲になった男とお前が、寄り添うように歩いていたのを目撃した者がいる」
「人違いです。僕は……そんなところにはいませんでした……」
「その時間はどこに?」
「ひ、独りで……買い物を……」
「アリバイを証明する者は?」
「……」
「買い物の内容について、言うことに一貫性がない、と書かれている」
「……そ、それは……」
「何のために嘘をつくのか知らないが」
拷問官は囚人の背後に回った。
「時間の問題だ。白状させてやる」
拷問を覗き見る