「意地を張っても意味がないということがわかったか?」
囚人のアイマスクを外し、拷問官はその目を覗き込んだ。
「あっ…あ、は…、はあ、はあ……」
囚人は、画鋲が刺さった箇所を確認するように、自分の身体を見下ろしていた。
「すごい汗だな。水を飲ませてやろう」
拷問官は、指を鳴らして補佐官に合図した。
拷問補佐官は、部屋の隅に設置された物置からホースを取り出した。
それを、洗面台の蛇口に差し込む。
ぐるぐると丸め束ねられていたホースがほどかれる。
拷問官はホースの先端を受け取ると、それを囚人の目の前にかざした。
「たっぷり飲ませてやる。口を開けろ」
「ああ……お願いします……た、助けて……」
「受け取った物の在り処を言え。すぐにやめてやる」
「そ、それは……」
「今、言わないと、しばらくは言いたくても言えなくなるぞ」
「……」
囚人は黙っていた。
仕方なく拷問官は、囚人の口をこじあけ、中にホースの先端を押し込んだ。
「アッ! アガガッ!」
喉の奥までホースを差し込み、口を閉じさせる。
そして、唇とホースを密着させるようにガムテープをぐるぐると巻き、貼り付けた。
囚人は、ホースをくわえさせられたまま、固定された形になった。
「よし。水を出せ」
拷問官は、補佐官に指示を出した。
すぐに補佐官は、蛇口をひねる。
水道音が響き、ホースが水流で硬くしなり、動いた。
「ムグゥーッッ!!」
囚人が頭を振って呻いた。水が口の中まで届いたようだった。
「オゴッ、オプッ、ウグォ、ウグムムムゥーッ!」
激しく頭を前後左右に振る。
やがて囚人の鼻の穴から、ダラダラと水があふれ出した。
拷問官が手を上げて、一時的に水を止めさせた。
「どうだ? うまいか」
「オゴホッ、ブホッ、グホッ」
「白状する気になったか?」
「ウ、ウウウ、ウ……」
拷問官は残酷に笑いながら、補佐官に向かって手を上げた。
再び、拷問補佐官によって蛇口がひねられる。
「フウムググ、ムグ、グオォォッ!」
囚人は、再び鼻の穴から水を垂らし、頭を振り続けた。
「止めろ」
拷問官が水を止めさせる。
それが幾度となく繰り返された。
囚人は、窒息寸前まで溺れ、苦しげに喘ぎ、強引に水を飲まされた。
「フフフ。ずいぶん腹が膨らんできたな」
拷問官はそう言いながら、クリップで囚人の鼻をつまんだ。
「ンッ、ンンンッ、ンウーッ、ングーッ!」
口を塞がれて水を送り込まれながら、呼吸ができなくなった囚人は、涙を流して気絶した。

続く