1995年執筆 / 掌編 / 全1頁
[あらすじ]
新宿のバー。藤本拓也は共に暮らす恋人・数馬と最後の夜を過ごそうとしていた。付き合っている間、自分が数馬にとってどの程度の存在であるのか、とうとうわからなかった。そのまま満たされない愛を抱いてそばにいるよりは、逃げてしまおうと思っていた。そしてその晩、ドイツから数馬に会いに来た川原という謎の男と接したことにより、拓也はすべてを悟ることになる。数馬が本当に必要としているもの。そして、本当にそばにいるべき人間が誰であるのかということも。[解説]
かつて『N(ニュートラル)』のプロローグ的な短編があったのですが、なぜかその作品を同人誌で出そうという話が持ち上がり、ページ合わせのためにサイドストーリーとして書き下ろした作品です。結局、同人誌は出せませんでしたが、これはかなり気に入っています。実は、初めてカクテルをテーマにして書いた作品。これ以来、カクテルで人生を語ったり、気持ちを表現したり、という手法がとても気に入り、よく書くようになりました。(1999年Web公開時コメント)